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PROJECT
02

Nikko Itabashi
Solar Park

日光板橋発電所

2017年3月31日までに太陽光発電所を完成・運転開始することで、税制メリットをもつ小口一般投資家向けファンドの組成を目指した本プロジェクト。様々な課題を抱えたスタートから目標の達成まで、開発を主導したいえものがたり株式会社(以下、いえものがたり)代表・長澤猛氏、施工・管理のオムロンフィールドエンジニアリング株式会社(以下、OFE)営業・村上貴彦氏、ミナトマネジメント代表・倉本達人、開発担当・加藤大が、改めて成功の要因を見つめる。

※会社、役職等は当時のものです

BASIC INFORMATION

投資案件 再生可能エネルギー投資
所在地 栃木県日光市
発電容量 2,506.9kW
完工年月 2017年3月
パートナー企業 いえものがたり株式会社 オムロン フィールドエンジニアリング株式会社

MOVIE

SCENE 01期限必達の鍵はチームの連携にあり

西に例幣使街道、東に線路、そして南は森に囲まれた土地。もともとこの場所は、ある造成業者が自社の残土処分場として使用し、二次利用のために太陽光発電事業のIDを取得していた地所だった。ここが売り出される情報を、いえものがたりの長澤氏が知ったのは、2015年の夏。当時は、設備投資に対する優遇措置「生産性向上設備投資促進税制」が実施されており、太陽光発電事業の設備もその対象に。しかし17年3月31日までに運転を開始できなければ税制メリットを受けられないため、多くの事業者が開発を急いでいる時期だった。それにも関わらず、なかなか買い手は決まらなかった。街道の杉並木は国の特別史跡・特別天然記念物のため切ることができず、その影が発電効率に影響するのではないかという噂があったからだった。長澤氏は「購入を検討したのは、造成工事がほぼ不要だったからでした。けれど初期段階では、発電効率の調査に費用を割くことはできません。とはいえ発電に対する懐疑的な意見を払拭できなれば、銀行の融資額は小さくなる。税の優遇措置を受けるには、決断は早い方がいい……。そんな時に出会ったのが、倉本さんでした。彼はすぐに調査会社を入れて発電する根拠を構築し、疑念を覆してくれました」。

倉本は「きちんと調査しなければ、商品にならないというポリシーがありました。一方で弊社にとって本案件は、開発段階から自己資金を投じ、かつ完成時に一般投資家の方を集めてファンド化するという初めての試みでした。実はそういう機会を探していたので、積極的に行動できました」と言う。加藤も「関東エリアであること、固定価格買取制度(FIT)の単価、商品化しやすい規模などが参画の決め手に。しかし期日までに完成しなければ税制メリットが受けられないため、いかに皆さんと連携していくかが、成功の鍵を握っていました」と振り返る。

SCENE 02課題解決に向けた懸命の東奔西走

土地の購入を最後まで競合したのは、いえものがたりを含む3社。2015年10月に契約を勝ち取ることができたものの、そこからが苦難の道だった。 長澤氏は「影や伐木の問題などをある程度承知で購入しましたが、思うように事は運びませんでした。特に厄介だったのは、土地の一部に掛けられていた大正5年の抵当権」と顔をしかめる。事前情報では簡単に権利を確保できる話だったが、いざ登記上の住所に足を運んでみると、ただの畑。誰も住んでいなかった。「どうやって権利者と話をするのか、当惑しました。大正時代の方の相続人全員に当たるとなれば、おそらく100人規模。最悪のケースも頭をよぎりました。そこで弁護士を立てて解決策を模索。結果、供託にできる可能性が見えてきました。あちこち駆け回っての手続き。ようやく解消できたのは、系統連系が目の前に迫る3月15日のことでした」。

倉本も「針の穴に糸を通すような登記手続でしたが、その成否は致命的な問題になりかねませんでした。土地に抵当が打てなければ資金調達はできないため、我々も固唾を呑んで待ちました」と語る。一方で行政機関との協議にあたっては、指導に従って随時事業計画の見直しを行った。事業によっては許認可に半年ほどの時間を要するケースもあるため、長澤氏は土地と事業計画に関する説明を詳細に行い、内容の確認と理解を得た。また他方では、電車から放出される迷走電流によって、パネルを支える杭が電食されるのではという懸念もあった。調査を行うと、結果は微弱。向こう20年間の発電事業に影響しないことが確定し、胸をなで下した。

建設前の様子

SCENE 03納期と品質を両立した
事前準備と施工計画

OFEに打診があったのは、2016年の10月頃。当初は11月下旬に造成工事が終わり、着工できる手はずだった。村上氏は回顧する。「待てど暮らせど、造成が終わらない。今回は現場代理人の手配や段取りに加え、鉄道会社や電力会社との調整も必要だったため、気持ちは焦るばかりでした」。その焦燥をよそに、造成が完了したのは翌年1月。即座に地盤調査が行われ、最終的な設計と施工計画が作成された。「事実上の着工は2月中旬でした。通常、2.5メガワット規模の発電所には3カ月程度の工期が掛かりますが、今回はわずか45日。死に物狂いでした」と村上氏。その思いは天に通じたのか、天候が味方した。しかし順風満帆とはいかなかった。ケーブルの盗難事件が発生し、作業が停滞。警備強化によって2度目は防げたが、大きな痛手だった。

ただでさえ時間がないイレギュラー案件。様々な課題を抱えつつも、なぜ短期間で完遂できたのか。村上氏は「事前の設計と施工計画を念入りに行った結果です。通常は工程順に行う作業を複数班で同時進行し、不備があればすぐに手直ししました。例え工期が短くとも、我々は常にお客様に安心頂くための高い品質を保たなければなりません。そのため、QCD+S※の遵守をポリシーに尽力しました」と力を込める。現場を見た長澤氏は「微妙な傾斜がある難しい土地で、あれだけの人数を同時に動かしていたとは思えない完成度。非常に高い施工レベルです」と驚嘆した。

※Quality(設計・施工品質)、Cost(実行予算)、Delivery(工期)+Safety(安全)

LOOKING TO THE FUTURE
深まる絆と
経験値新規案件の架け橋に

絶対的な時間制限のなかで、幾重の課題を跳ね除けた本プロジェクト。成功の要因を長澤氏は「皆さんの叡智の結集です。資金調達や調査をミナトマネジメントさんに、施工はOFEさんに依頼できたので、我々は土地の問題解決だけに集中できました。もし単独だったら決して間に合わなかったでしょう」と断言。村上氏も「短い工期でしたが、完成度は通常時のものと遜色ありません。社内でも高い評価を受けています」と言う。倉本は「OFEさんには引き続き保守管理をお願いしていますが、信頼感が違います。今回の案件は、各々が、それぞれの立場からアラートを鳴らしあったことが最大の功績だと思います」と分析した。最後に、倉本と加藤は声を揃えて「プロジェクト立ち上げ時から自己資金を投資する案件は初めてだったので、大きな経験値になりました。その上で、投資家さんに受け入れていただいたことも自信に。これを好例として実績を重ねていきます」と展望する。事実、本プロジェクトの結果は、募集開始から日を置かずに満口に。メンバー全員の歓喜を呼んだ。そしてこの絆は、同じフォーメーションでの2号案件につながっている。

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