- 金融商品
- 2021.04.27
コラム第8回 オペレーティングリース商品 ③投資検討の判断基準
オペレーティングリース商品も他の投資案件と同じく資産を購入(取得)するのですが、一般投資家の方が投資をする場合のほとんどのオペレーティングリース商品は「セール・アンド・リースバック(セール&リースバック)」と呼ばれる、資産を取得する相手方自身が借主となるパターンです。
リース会社でもない一般投資家(一般事業会社)の方々は自ら対象資産を使用する人を探す手立てがないのが普通なので、ある意味当然ですね。
そしてセール&リースバックの場合、対象資産を売却した側が引き続き対象資産を使用しますので、売却する側は一旦自らが保有していた資産を現金化し、その資産を使うリース料を払います。この現金の流れ(取引の最初に大きな現金を得て、その後一定期間リース料名目の現金が支払われる)は「対象資産を担保とした借入」と同じような効果を持ちます。
借り手がもともと使っていた資産を使い続けるということは貸し手側=ファンド側で借り手を探すわけではない分リース料収入が見込みやすいということですので、例えば賃貸不動産のような空室リスクを抱えた資産と比較すると、ある意味リスクは低いと言えるかもしれません。
その一方で、上記のように借主がもともと対象物件の持主ですので、ともすれば「借主がいなくなった場合に新しい借主を見つけることが難しい」ということにもなりかねません。
そのため、オペレーティングリース商品への投資を検討する際には以下のようなことを確認する必要があります。
① 借主(対象資産を使う会社)の与信
リース期間に亘り安定したリース料を受け取るためには、まず借主自身や対象資産を使用する事業に安定性がないといけません。
借主自身の財務状態や資金繰り計画、対象資産を使用する事業の環境や将来見込みについて見極める必要があります。
② 対象資産の価値
ファンドで集めた資金のほとんどは対象資産の取得に充てられるのが一般的ですが、その際の売買価格やリース期間満了時(あるいは借主側にある程度のリース期間が経過した後に買い戻しのオプションが設定されている場合はそのオプションの行使時)の想定時価が適切に見積もられ、かつその時価の実現(現金化)の確度を見る必要があります。貸し手の立場から見れば当然物件の取得代金以上に回収をする必要があるのですが、オペレーティングリースの場合リース料の総額が物件の総額よりも低いので、リース料をもらうだけでは投資した金額の全額が回収できません。そのためリース期間満了時に物件を売却することで回収できるシナリオが必要で、そのための時価推定の適正性が求められるわけです。
私どもミナトマネジメントはファンド組成において対象資産及び借主の評価を適切に行い、リース期間中のリスクがどこにあるかを見極めることに重きを置いています。
そのうえで、本件を取り組むことが投資家にとってメリットがあるか、また借主にとってもメリットがあるかを常に見極めるようにしており、それが結果として弊社組成ファンドの安定性に繋がっていると考えています。