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COLUMN

コラム第12回 太陽光発電事業 ④投資家として考えるべきリスク

これまでのコラムで、簡単ではありますが制度の内容や設備の種類についてお話してきました。
今回は「投資」という観点から、太陽光発電事業が抱えるリスクを考えてみたいと思います。

 

① 設置された環境(立地)
太陽光発電事業は文字通り太陽光で発電するものなので、日射量が十分に確保されないことには全く収支が合わなくなります。
そのため、発電の妨げとなる日影の原因となる木や高い建物などが周囲にないか、また北斜面など地形が良好な日射を確保できる環境でないかどうかなどの確認が必要です。
また、台風や地震、水害などの自然災害が起きた場合の被害を考え、発電設備の立地が自然災害を被る可能性についても考慮しなければなりません。
そして例えば急斜面であったり無理な造成工事を行っていたりというような、「そもそも太陽光発電設備の用地に適していない」立地もあるかもしれません。
このような点は地図や航空写真ではわからないことですので、可能な限り現地を確認すべきでしょう。

 

② 使用する部材と施工の品質
発電設備において重要なポイントが使用するモジュール(発電パネル)とパワーコンディショナー(PCS、パワコン)です。
20年に亘り適切な発電を確保するためには、これらモジュールやパワコンの品質が長期間維持されなければいけません。
そのため、これらのメーカーの信頼性を確認することが重要です。発電設備に使用されているモジュールやパワコンはいわゆる大手ブランドなのか、そうでない場合は保証体制(出力保証など)や日本国内でのサービス拠点などについて確認する必要があります。
また、長期の売電を行っている間に例えばモジュールを設置している架台が傾いたり、場合によっては倒れたりすることも起こりえます。それらは最初の施工段階でしっかり手当をすることが重要であり、その観点から施工業者の信頼性を確認する必要があるといえます。
施工会社の過去の施工実績を見て十分な実績を持っているか見極めるべきでしょう。

 

③ 保守管理体制
売電期間における保守管理(Operation and Maintenance=O&Mという言い方をします)はとても重要です。
O&Mのポイントは(1) モニタリング体制が整っていること、(2) トラブル時の即時対応、そして(3) 予測値と実績値の乖離が生じた時の改善対応です。
太陽光発電事業は「作ってしまえばあとは放置してよい」というものではなく、例えば除草やモジュールの清掃、伐採などの周囲環境の整備を常に行わなければいけません。
それを適時適切に行うためには常に発電状況のチェックが必要であり、また自然災害などの事故が起きた時に速やかに原状復帰する体制を持っておく必要があります。
また、太陽光という自然が相手の事業ですので、投資時に予測していた発電量と実際の発電量が全く一致するということはなく、予測値を下回ったときの原因分析を的確に行うことができるかというのは20年トータルで見た時のパフォーマンスに大きな影響を与えます。
こういったO&Mはそれを専業としている会社ではないと対応できないことが多く、従って投資対象となる発電設備のO&M会社の実績を確認する必要があります。

 

④ 将来の費用負担に対する準備
20年間の中で必ず起きる事象がパワコンの入れ替えです。一般的にパワコンの耐用年数は10年程度と言われており、それはすなわち20年のうち1回はパワコンの入れ替え費用が発生することを意味します。
投資をする上ではこの投資費用を見込む必要があります。
また、固定買取制度に基づく売電を行う場合は遅くとも20年後に必ず電力会社との契約が終了します。そのタイミングで発電設備を撤去する可能性があり、そのための撤去費用をどうねん出するのかということは投資する時点で予め考慮しておかなければなりません。

 

以上、太陽光発電事業へ投資するうえで考慮すべき主なリスクを挙げてみました。
もちろん他にも考慮すべきリスクは沢山あるのですが、これらを把握し投資家と共有・適宜改善のための対処をするのがアセットマネージャーの立場であり、弊社の役割でもあります。

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