loading...

COLUMN

コラム第21回 不動産 ②土地に付随するさまざまな権利

前回に続いて不動産のお話をしたいと思います。
今回は土地に関連する権利のいろいろについてです。

土地や建物についてどのような権利を誰が持っているかというのは登記情報、法務局で取得できる履歴事項全部証明書を見ることで誰でも確認することができます。
不動産、特に土地は様々な使われ方がなされるので、その使われ方に対して様々な権利が存在します。
以下に主な権利の内容を記します。

 

①所有権
世間一般でいう「地主」はこの所有権というものを持っている人を指します。
文字通り、対象土地の所有者であることを示すものです。

 

②抵当権
いわゆる「担保」ですね。所有権者等が借り入れなどを行った際、その担保として土地を差し出す場合に設定されるのが抵当権です。
登記情報を見ると、抵当権を設定した場合はその内容、具体的には誰がどういう契約の下で担保設定しているのか、担保設定額はいくらなのか、などを見ることができます。

 

③賃借権
借地借家法に基づく権利です。いわゆる「賃貸に回す」「賃借する」関係性の下で、借り手側が持つ権利です。

 

④地上権
このあたりから、聞きなれない言葉が出て来るかもしれません。
地上権は工作物や竹木を所有する等を目的として他人の土地を使用する権利をいいます。
「他人の土地を使って、その上で建物等を持つ」という点では賃借権と同じなのですが、根拠法と法律上の権利の種類が異なります。
賃借権は「債権」である一方で地上権は「物権」という法律上の違いがあり、実務上で気にすべき点は、地上権は地主の承諾がなくても譲渡や転貸が可能、ということかと思います。
また、地上権は登記義務があるため、登記情報に必ず確認できることになります。
一方、賃借権は登記義務がないため登記情報だけでは賃借権が存在するのかどうか確認できない場合があります。

 

⑤地役権
ひとことで言えば自分の土地のために他人の土地を使う、という権利です。
典型的なのが私有地を通行路として使うもので、他にも地中にガス管や水道管を通したりする場合などにも権利が発生します。

例えば当社が所有・運用しているソーラーシェアリング(営農)型の太陽光発電所の場合、農地である下の土地部分は別の方が所有されています。

 

 

では当社は対象地に関してどのような権利を有しているかというと、以下のようなものです。

 

・空中数メートルにパネルを設置するための「区分地上権」
土地の表面から上に登っていくエリアの全てを当社が使っているわけではなく、あくまで「パネルを設置している高さ相当部分のエリア」を使っているにすぎません。そのため、地上権の一部=区分地上権というものを設定しています。

 

・土地の一部の「賃借権」
ただ、パネルは当然ながら空中に浮かんでいるわけではなく、架台により地面と繋がっています。
この、架台と繋がっている個所(杭が打たれている、その杭の面積分)について、賃借権を設定しています。パネルの真下の土地すべてに賃借権を設定する必要はなく、あくまで「杭を打つ部分の土地だけ使わせてもらっている」というような感じですね。

土地の根本的な権利である①の所有権が、②以降の各種権利に「枝分かれ」するというようなイメージで考えれば整理できるかもしれません。

 

街を歩けば土地の上にはいろいろなものが存在し、また土地の利用方法もさまざまです。
目に入る様々な建物・構築物からそこに繋がる土地を見て、権利関係がどうなっているか考えてみてもいいかもしれませんね。

Recent Posts

コラム第72回 「節税」商品について ⑤「節税」不動産に対する規制と新しい動き

2023.07.04

コラム第71回 「節税」商品について ④不動産の節税効果

2023.06.20

コラム第70回 (寄り道)当社のマンション区分投資事例③

2023.06.06

ページ上部へ戻る