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COLUMN

コラム第24回 不動産④ 既存不適格

過去にお話してきた太陽光発電事業や船舶オペレーティングリース事業などと違い、不動産はどなたにとってもなじみの深い資産だと思います。
しかしながら、意外に知らないこと、言葉も多いかもしれません。
前回のコラムではそのうち「2項道路」という言葉を取りあげてみました。
今回は「既存不適格」という言葉についてお話をしたいと思います。

 

既存不適格、なにやらものすごい重たい響きですよね。
建物を建てる時の様々な規制を定めた、「建築基準法」という法律があります。
そのほか都市計画法や建築基準法を中心として様々な法令・規制があり、当然ながらこれらの法規制に則って建築しなければなりません。
しかしながら、法令はその時々の時勢により改正されていきます。
その結果、

 

「建築当時は法規制に準拠していた(適合していた)建物であるが、今の法規制に照らすと適合していない」

 

というような建物が表れてしまいます。
それを、

 

「現に存在する(既存)」

 

「法規制に適合していない(不適格)」

 

物件、つまり「既存不適格建築物」といい、「既存不適格」と呼びます。
※あくまで既存不適格は「建築当時は法規制に適合していた建物」です。建築当時で既に法規制に適合していなかった建物は「違法建築物」であり、意味が全く異なります。

 

では、既存不適格は具体的にどのようなものなのか。
わかりやすい例え話で言うと、その建物が建てられた後に建ぺい率(土地の面積に対して建てられる建物の敷地面積の割合)や容積率(建てられる建物の床面積に対する敷地面積の割合)が改正され、

 

「今はこの広さの家が建てられない」

 

「今はこの高さのビルが建てられない」

 

というようなものです。

 

街を歩いていると妙に古いビルが残っていたりすることがありますよね。
そのビルが今も存在する理由は当然様々でしょうが、「既存不適格なので建て替えない方がいい」というオーナーの判断のもとビルが残されているパターンもあると思います。

 

これを投資の目線で見てみましょう。
賃貸不動産を考えたとして、建て替えた場合にもともとある建物より小さくなってしまうと、当然ながら床面積が少ない分賃料収入が減ってしまいます。
一方で建て替えるわけですから「新築物件」となり、その分賃料の上振れが期待できます。
逆に、既存の建物をそのまま使うよりは当然ながら建て替えコストがかかります。
しかしながら、古い物件の方が修繕コストがかかりますので、建て替えた分将来の修繕コストは低く見積もることができます。
そのような、「今の建物のまま運用する」「建て替える」それぞれのパターンにおける将来収入・費用のバランスを考えていかなければなりません。

 

投資する立場において既存不適格物件に投資をする際に最も気にしなければいけない点の一つは、金融機関からの借入がしにくいという点です。
金融機関は基本的に法定耐用年数の残存期間を基準として融資期間を設定し、既存不適格物件は築古のものが多いため、どうしても融資額が小さくなりがちです。
また、「既存不適格=今の法規制に適合していない」という理由をもって、融資を断る金融機関もあります。
そのため築古の建物はどうしても建て替えを優先的に考えてしまいがちです。
しかしながら、今の建物だからこそ得られる価値も、既存不適格物件にはあるとミナトマネジメントは考えています。
必要な修繕工事を行い、建物としてのスペックを整えることで、建て替えた場合よりも経済価値が高い場合もあります。
また、取り壊すことにより発生する大量の廃棄物を考えれば、今の建物をそのまま利用することは自然環境に配慮した考え方ともいえるでしょう。
ミナトマネジメントはそのような考え方の下、「既存不適格はNG」というフィルターを持たずに対象物件の根源的価値を追求し、投資機会の創出を図っていきたいと思っています。

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