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COLUMN

コラム第27回 匿名組合出資持分の評価

今回は少しひねって、出資持分の評価についてのお話です。

 

匿名組合契約の締結と出資金の払込により、投資家は匿名組合の出資持分を取得します。当然これは投資家の会計帳簿上の資産にも計上されます。「有価証券」や「出資金」などの勘定科目にて計上されることが一般的だと思います。
さて、このような匿名組合出資持分を保有する会社の株式を評価する場合、保有資産の一部である匿名組合出資持分はどう評価したらいいのでしょうか?

 

評価方法の一つの参考として、相続税における評価方法があります。
匿名組合出資持分の相続税における評価方法は国税庁が公表しています
少し長いですが引用します。

 

===
匿名組合員の有する財産は、利益配当請求権と匿名組合契約終了時における出資金返還請求権が一体となった債権的権利であり、その価額は営業者が匿名組合契約に基づき管理している全ての財産・債務を対象として、課税時期においてその匿名組合契約が終了したものとした場合に、匿名組合員が分配を受けることができる清算金の額に相当する金額により評価します。
清算金の額を算出するに当たっては、財産評価基本通達185の定めを準用して評価します。
===

 

つまり、

 

「今のタイミング(課税時期)で匿名組合契約が終了した時に受け取る清算金の額で評価せよ」

 

とあります。

 

匿名組合の場合、匿名組合契約に定めた事業のみを行いますので、組合が持つ資産負債は限定されます。そして出資持分の評価のポイントは、出資対象となり取得した資産をどう評価するかということにほぼ絞られると思います。

ベンチャーキャピタルファンドなど投資対象が株式の場合、組合決算時に運用会社がファンド持分の時価情報を組合員に提供していると思います。その場合の投資株式の時価は投資先の直近取引事例に基づく価額にて評価されているのが通常です。
匿名組合出資持分の評価時にはこの時価情報を使うことになります。

 

では、当社が扱ってきた太陽光発電事業や船舶オペレーティングリース事業などの事業型ファンドの場合はどうでしょうか?
太陽光発電設備や船舶・航空機などの投資資産は株式投資ファンドと異なり一定の収入や事業計画を前提に投資しており、その取引が頻繁に繰り返されるものではありません。
また、収入の基本は売電収入やリース料収入などのいわゆるインカムゲインであり、投資資産の売却による収入=キャピタルゲインが期中に発生することは基本的にありません。
したがって、定期的な時価の評価替えということをすること自体がなじまず、運用会社も対象資産の時価を把握するということは行っていないのが一般的です。
この場合、個別に投資対象資産の時価評価をとることになります。個別に鑑定評価を取る場合もあれば、市場評価情報がとれる場合(航空機やヘリコプターの場合インターネットで相場情報を購入できることもあります)もあると思われます。あるいは事業収支をもとに第三者による評価レポートを入手する、という方法もあるかもしれません。

 

ファンドへの投資をする際に出資持分の評価方法まで考えるケースは少ないと思われます。
投資家にとって金銭的なリターン以外の価値を把握する必要があるのは相続や事業承継、M&Aなどのケースに限られるためですが、投資された時期においてそのような局面が訪れる可能性がある場合は、出資持分の評価に関する考え方は理解しておいた方がいいでしょう。

 

※具体的な評価方法や考え方は投資家の状況や投資資産により異なるため、詳細は顧問税理士・会計士にご確認ください。

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