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COLUMN

コラム第50回 プロジェクトファイナンス ③倒産隔離(1)

前回のコラムでノンリコースローンについてお話ししました。
ノンリコースローンはプロジェクトファイナンスを成立させるための融資方法なのですが、もう一つプロジェクトファイナンスにおいて切っても切れない考えの1つが、

 

「倒産隔離」

 

というものです。
今回は倒産隔離について、その基本的な考え方をお話ししたいと思います。
倒産隔離とは文字通り、「倒産」から「隔離する」、つまり可能な限り対象となる事業が停止する・資産価値が失われるリスクを排除する策を講じることです。
一般的に会社が倒産する場合、その手続きは大きく3つに分けられます。

 

株主(出資者)のリスク:株主(出資者)が解散決議をする、株主が倒産する。

 

経営者のリスク:経営陣が倒産手続きを決議する。

 

債権者のリスク:債権者が倒産手続きの申し立てをする。

 

これらそれぞれの「倒産リスク」を理論上抑え込むのが、倒産隔離です。
ではプロジェクトファイナンスのスキーム構築において、具体的にどうするのでしょうか?
まず、①の株主(出資者)のリスクから。
会社の解散決議をすることができる立場の一人が、株主です。
また、株主の経営破綻等の理由により株主の債権者が会社に対して影響を与える可能性もあります。
そのような株主(出資者)による倒産リスクを避けるため、まず対象会社の資本金部分に「色」をつけない方法をとります。
具体的には、「一般社団法人」が資本金相当分を払い込む形をとる、すなわち一般社団法人が株主(出資者)となる方法です。
一般社団法人は他の法人と異なり、資本金に相当する「基金」を払い込んだ人=基金拠出者は自ら拠出した基金の返還を受ける請求権を持つのみで、社団法人の経営に関わりません。一般社団法人の意思決定をするのはその社員及び社員によって選ばれた理事になる人です。基金拠出者に社員の地位を与えず、対象会社の資本金相当部分を一般社団法人の基金分で充当することで、「資本金の資金源」が対象会社の意思決定に関与できないという構図が出来上がります。
そして一般社団法人は対象会社の出資持分を持つためだけに存在する法人にすることで、一般社団法人自身の債権者を極限まで限定し、対象会社にとっての親法人の倒産による影響を極小化することが可能となります。

 

他のリスク要因とその排除方法については、次回以降のコラムでお話ししたいと思います。

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