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COLUMN

コラム第51回 プロジェクトファイナンス ④倒産隔離(2)

倒産隔離についてのお話の続きです。

倒産リスクの中に、経営者のリスク=経営者自身が倒産手続きの決議をするということが考えられます。
それを避けるために、プロジェクトファイナンスにおいては対象会社の代表について、身元が明らかな、かつプロジェクトの意思決定に深く関与することのない第三者を「名目上の代表者」として就任させます。
一般的には会計税務事務を請け負う会計事務所・税理士法人の有資格者、税理士や公認会計士の方が就任されることが多いと思います。
法人である以上代表者というものは存在しなければ機能しませんし、代表者は法人の登記事項でもあるのですが、実際に対象会社の運営を行うのはアセットマネージャー=AMと言われる立場の者であり、対象会社自身が意思決定をすることはありません。

 

そこで対象会社の代表者が自らの判断でプロジェクトの意に反した行動をとったり、会社自体を解散させるようなことがあったりしてはいけません。
そのためにこのような手当てをするわけです。

 

また、もう一つの倒産リスクに、債権者のリスク=債権者から倒産手続きの申し立てを受ける可能性があります。
それを避けるために、対象会社を「合同会社」とするケースが多く見受けられます。
なぜ株式会社ではなく合同会社をSPCとするかというと、会社の倒産手続きの中で合同会社は会社更生法の適用対象外だからです。
合同会社は破産法や民事再生法の適用対象ですので株式会社と比較して「相対的に」倒産リスクを低くするというだけの手当てでしかありませんが、匿名組合において「GK=TKスキーム」と呼ばれる合同会社を使った方法が選ばれるのは、法的観点から言えば上記の理由が挙げられます。
なお、それ以外に合同会社の採用が好まれる理由として、定款認証が不要であることや決算公告の義務がないことなどの実務的な負担の軽さがあります。

 

これらが倒産隔離に関しての基本的な考え方です。
プロジェクトファイナンスでは他にも様々な形で倒産リスクを抑えていきますが、次回以降にそのお話をしようと思います。

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