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COLUMN

コラム第63回 一種単価

前回に引き続き、不動産の基本的な用語についてお話ししたいと思います。
今回は「一種単価」についてです。

 

不動産業界では当たり前のように交わされているこの言葉ですが、一般の方々はほとんど耳にしたことがないと思います。

「一種単価」とは、「容積率100%あたりの土地単価」を指します。
つまり、土地に対してその土地の制限上の容積率いっぱいに建物を建てた場合の、床面積あたりの土地の単価です。
例えば100坪の土地の価格が1億円であったとして、容積率が300%であった場合、この土地の坪あたりの単価は1億円÷100坪=100万円です。
そして一種単価は

 

100万円/坪÷300%≒33.3万円/坪

 

と計算されます。
この土地の容積率が仮に500%である場合、その一種単価は

 

100万円/坪÷500%=20万円/坪

 

と計算されることになりますね。

 

一種単価が安くなるということは、それだけ床面積あたりの土地の坪単価が低い=効率的な建物を建てられるということを意味します。
そして当然ながら、容積率が大きい土地の方が一種単価の計算上は有利となります。
実際には前面道路の広さ(幅員)によって容積率が減少したり、道路斜線や高さ制限があったり、あるいは容積緩和が受けられる特別な制度などがあったりして、様々な規制によりその土地で建築可能な建物は機械的な容積率で決められるものではありません。
また、例えばマンションの共用廊下などの一部分は容積率の計算上の床面積に含まれません。
そのため、一種単価はあくまで「土地の収益性をざっくり把握する」値だととらえた方がいいのですが、逆に言えば「概要レベル」の情報しかない土地の収益性を図る上では役に立つ指標と言えます。

 

ちなみに「一種単価」という言葉はその昔建築基準法で定められていた「容積地区」という制度の数値を語源としています。
昔は都市計画で容積地区に指定された地区では、容積率の上限が第一種容積地区=容積率100%、第二種容積地区=容積率200%、というピッチで、第十種容積地区=容積率1000%までの10段階で規制されており、二種が200%、五種が500%、十種が1000%なら、

 

「一種あたり」=「容積率100%あたり」

 

ということだと認識されるようになって、不動産業界内の言い回しとして、「一種単価」という言葉が生まれました。

 

今は規制が複雑化して容積率も上記のような単純な割り振りではなくなってしまいましたが、「一種単価」という言葉だけがある種の俗語として生き残ったということになります。

不動産の収益性を図る指標は他にも様々ありますが、それはまたの機会に触れたいと思います。

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