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COLUMN

コラム第45回 不特法について ④匿名組合型の不特法ファンド

前回のコラムでご説明した「任意組合型」のファンドの続きとして、「匿名組合型」のファンドについてお話をしたいと思います。

 

匿名組合については、過去のコラムにて何度かとりあげました。
ひとことで言うと、

 

「カネは出すけどクチは出さない」

 

のが匿名組合です。
匿名組合の場合、投資家=組合員は営業者=不特法事業者に対してその意思決定の全てを委ねることになり、自らが意思決定に関与することはありません。
その一方で、組合員の責任は有限であり、具体的には出資金の範囲内で留まります。

 

そして、先のコラムで記したように、匿名組合型ファンドにおいて、組合員が取得するものは「匿名組合出資持分」という有価証券です。
これが任意組合型のファンドと大きな違いで、投資家が個人の場合は任意組合型ファンドでの所得が不動産所得になるのに対して、匿名組合型ファンドでの所得は雑所得となります
雑所得は他の所得と通算が出来ず、また総合課税ですので、個人で匿名組合型ファンドへ投資をする場合は自らの税負担について注意しなければなりません。

 

任意組合も匿名組合も同じ組合ですので、投資家側の会計・税務上の取り扱いは同じくパススルー(構成員課税)となります。
従って、それぞれの形態における投資家側の所得分類を除けば、「組合で生じた損益は投資家に分配される」という効果は変わりません。
※パススルーについてのお話はこちらのコラムをご参照ください。

 

任意組合型ファンドの場合はあくまで組合員全員で意思決定を行うこと、
匿名組合型ファンドの場合組合員は意思決定に関与しないこと、
それが一番大きな違いであり、また,
投資家側で認識する「自らが投資することで取得する資産」の種類が異なる
というのがもう一つの大きな違いです。
その他、匿名組合型ファンドと異なり任意組合型ファンドは金銭出資だけでなく現物出資や労働出資などの出資も認められているのですが、実務上はどちらもほぼ金銭出資のみでファンドが組成されていますので、違いとしてはあまり注目するものではないでしょう。

 

また、匿名組合はその契約内容を営業者と組合員との間で柔軟に決めることが出来るため、「優先匿名組合契約」と「劣後匿名組合契約」というリスク負担と配当に優先劣後構造を設けたファンドも作ることが出来ます。
外部の一般投資家に対する配当を確実なものにするため、不特法事業者自らが劣後組合員となってファンドを組成するという事例も数多く見受けられます。

 

任意組合型ファンドと匿名組合型ファンドのどちらがいい、というようなことは一言では言えません。
ファンドの様々な性格、投資方針などをしっかり把握し、どういう理由で任意組合型・匿名組合型のいずれを採用しているのか投資家がしっかり理解・把握する必要がありますし、そのような説明をしっかりする不特法事業者のファンドへ投資すべきだと言えるでしょう。

 

※不特法ファンドの会計・税務上の取り扱いについては顧問税理士・会計士にご確認ください。

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